「クリの丸太は、5年かけて集めたコレクションなんですよ。5年前のある日、突然、クリの木で家をつくったらおもしろいんじゃあないかと思い立ってね、集め始めたんだ」Oさんが言った。Oさんは、一時は絵の道を志したというだけあり、つばのある帽子をかぶり、チョッキを着て、おしゃれにもそれなりに気を配っている、材木屋らしがらぬいでたちで、大きな目がいつも笑っているようなひとなつっこさを感じさせる。そのOさんの言葉に、Tさんも相槌を打つように、「クリの木は、柱に使ったら最高だね。
[参考]
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虫は付かないし腐らないから、何百年でも家が持ちますよ。ほら、あの青森の三内丸山遺跡から出土した木は、クリの木でしょう。ああやって、いまだに残っているんだから」「そうそう、三内丸山遺跡ね」Oさんが、Tさんから受けた話を続ける。「遺跡から、よくクリの木が出土するんで、縄文時代の人はクリで家を建てたって言うでしょ。でも、僕は、あれはちがうと思う。縄文時代だって、いろんな木で家を造っていたはずだもん。でも、他の木は、土に埋まって長い間に、みんな腐って無くなっちゃったんだよ。それでも、腐らず今に残ってたのがクリの木だったって事じゃあないの。ネー、T先生もよく知っていると思うけど、それくらい、クリは強い木だよね」